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8月26日、エビデンスに基づく統合医療研究会、シンポジウムに参加させていただきました。

第七回エビデンスに基づく統合医療研究会(eBIM研究会)
http://www.ebim.or.jp
『統合医療~生体情報の見える化から、患者さんに寄り添う医療の実現に向けて」
2日目の26日日曜日のシンポジウムでお話をさせていただきました。


場所は、大阪大学医学部学友会館、銀杏会館。阪大病院のすぐ隣。阪大病院には、父母が何度も長期入院していたのでよく通いましたが、こうやって父母の入院中の看病で行ってきたタッチケアが形になって、この思い出の地でお話をさせていただけたのは感無量です。

私が登壇させていただいたのは、2日目のシンポジウム2「患者さんに寄り添う医療の実現に向けて」 座長は「ともいき京都」でお世話になっております、田村恵子先生(京都大学医学部看護学教授)と今西二郎先生(明治国際医療大学付属統合医療センター教授)。アロマ(相原由花先生/ホリスティックプロフェッショナルスクール)と、音楽療法(堀彩先生/あしや音楽療法研究会)と、タッチケア(中川れい子/NPO法人タッチケア支援センター)、そして、座長の田村恵子先生も「ともいき京都」の活動を中心にお話くださいました。

他に、バーチャルリアリティや、AI、バイオフィードバックといったハイテクを駆使したものや、がん治療の最前線や新薬など、、、様々。
「一般社団法人て・あーて」理事の八木美智子先生の「タッピング・タッチ」のワークショップもあり、参加させていただきました。タッピングタッチは10年程前に参加したことがあるのですが、より一層洗練されていて、タッチケアの考え方と通じるものがあり、非常に勉強になりました。

医療者ではない私にとっては、このメインタイトルだけでも、恐れ多くてかしこまってしまいそうになったのですが、昨日、参加してみて、このタイトルのメッセージを私なりに読み解けてきそうな気がしました。すなわち。。。

玉石混交の統合医療や代替医療。
きちんとエビデンスを提示し、
患者さんの生体反応で何が起こっているのかを
リスクも管理したうえで、
患者さんにとって、本当に必要なサポートを提供し
一方的にならない、寄り添える医療を実現しましょう。。。

ということのようです。

HPには、エビデンスだけではなく、
患者さん個々人の内側の物語を大切にする
ナラティブ・ベイスド・メディスンも大切にする、、、とも
ありました。
どうやら、数値をあげて結果を示すだけではなく、
エビデンスと共に、お一人お一人に寄り添える代替補完療法を。。。というテーマがおありで、地味な学会で
参加者もそれほど多くはなかったのですが、
誠実さが広がっていました。

この背景には、医療者側からも
少しでも、安心して患者さんに
勧めれる代替医療を提案できるものを
見つけていこうという思いがおありなのだと
あらためて、思いました。

その分、それを提供する私達も、
エビデンスやリスク管理に責任をもって
一方的ではない「寄り添える」癒しに
のぞんでいかないといけないと
あらためて背筋が伸びます。

「ともいき京都」を主催されている
田村恵子先生も、病院という枠を少し離れて
京都町屋の「ともいき京都」さんでは、
タッチケアやアロマをはじめ、音楽療法、
ヨガやからだへの気づきのワーク、哲学散歩等等。
様々な取り組みを提案し、
また、患者さん同士が語り合える場を作っておられます。

従来の医療が「治療」が中心となっているのに対し、
ここでは、「癒し」がテーマとなります。

田村恵子先生は、長年淀川キリスト病院のホスピスで
師長さんを務めてこられた方で、
今は、京都大学の看護学教授でらっしゃいます。
プロフェッショナブル仕事の流儀にも
出演されていて、遠い昔、偶然拝見し、
まさか、こやってご縁ができるとは思ってもいなかったのですが、実際にお会いすると、とても謙虚で、やわらかで
そして、洞察力のおありの方です。

長年、患者様に寄り添われたからこそ
患者さんにとっての「癒し」とは何か?を
真摯に追求されていて
心から、こうした代替療法に
歩み寄ってくださるお気持ちが
有難いと同時に、
もっとしっかりせねばと思えてきます。

また、ホリスティックケアプロフェッションブル学院の
相原由花先生とは、久しぶりにお会いしたのですが、
発表では見事なエビデンスの提示と、
アロマの精油とタッチングの解説、
数多くの実践例を伝えてくださいました。
そして、看護とセラピストの間の橋渡しを
丁寧に、そして、力強く紡いでいかれている姿勢に
今回も、感銘を受けました。

初めて、お会いした、音楽療法家の堀彩先生は、
とても、経験が豊富な音楽療法家で
淀川キリスト病院をはじめ、各ホスピスや
障害者施設で、活動を続けてこられました。
今回の、堀先生のご発表で、
私は、音楽家と、音楽療法家のはっきりとした違いが
理解できました。
あくまでも、患者さんのために。。。という
きめ細やかに「寄り添う」姿勢には
学ぶことばかりです。

シンポジウムでいくつか問題として挙がったことは

「代替療法者は、自分の提供する癒しを、自己表現の場としてしまっていないのか?」
「代替療法者と医療者の間で、患者さんに関する情報の共有はどこまでできるのか?」
「癒しの過程で、患者さんの感情が高まったときはどうすればいいのか?」
「海外での状況は、どういうふうになっているのか?」
「急性期でも、代替療法を導入することができるのか?」

など。。。
時間が、あれば、もっと語り合いたい内容ばかりです。

私のほうでは、「触れるケア」全体をのびやかに語り合えるように
タッチの原則的なとらえ方を、提示してみました。
タッピングタッチの八木先生とも、あとで分かち合えたり。。

エビデンスでは、バイオフィードバックでの生理指標の変化や、関西大学心理学部の博士課程で研究してくださっている学生さんのデータも、部分的に送っていただき、それも参考資料としてお伝えすることができました(身体感覚の気づきに関する、貴重なデータとなりそうです)また、つい最近、1年分の産後のリラクセーショントリートメントを受けてくださった産後のお母さんたちの感想アンケートの統計をNPOのメンバーのお一人がとってくださったので、それも、一部ご提示できました。


これを契機に、もっともっと、地道に効果を測定し、
リスク管理もしっかりして、
一方的にならない、寄り添える癒しを
医療現場の方と、そして、なによりも患者さん達と
共有していかないとなぁ、、、と思った次第です。



この夏は、緩和ケアでのタッチケアの実践についての

医療サイドからの医療サイドからのまなざしを受け取りました。

こうやって、提示する機会をいただけたことを

心より感謝するとともに、

少しでも、患者様の苦痛を軽減し

こころに寄り添えるタッチケアを

伝えていきたいと改めて背筋が伸びる思いです。


(報告 中川れい子 タッチケア支援センター代表理事)

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by touchcaresupport | 2018-08-29 16:03 | 日々の活動

Hands on 2018 6月号 足の裏が大地に触れる感覚

NPO法人タッチケア支援センターの
メルマガ Hands on
2018年 6月号です。

***


大阪北部を震源とする地震に被災された
皆様には 心よりお見舞い申し上げます。
家財の倒壊やガスが止まったり、
今も余震が続き不安な日々が続きます。
梅雨のこの時期にはとくにお辛いですね。
回復のプロセスが無理のないように進みますように、心よりお祈りに申し上げます。

NPO法人 タッチケア支援センター
代表 中川れい子



地震の揺れは、心の不安や恐怖を
引き出してしまうことも。
特に、阪神淡路大震災を体験された方は、
あの時の恐ろしさが蘇ってこられた方も
多かったのではないでしょうか?

かくいう私も、その一人で、
思わず「きゃ~」と叫んでしまいましたが、
少しずつ、地震のネガティブな記憶から
地震によって学んだこと、気づいたこと
目覚めたことのもろもろの記憶が
蘇りはじめつつあります。
この内側からおこる感覚、
大切に見守っていきたいと思います。

夏至を超えて大きな移り変わりのこの時期。
皆様は、いかがお過ごしでしょうか?





さて、7月以降の講座のご案内です。
********************************
7月21日開講
看護・介護・家族間ケアのための
こころにやさしいタッチケア基礎講座
50時間 7日コース(7月~9月)
詳細 https://touchcare.exblog.jp/28075334/
***********************************
会場 アマナスペース(兵庫県尼崎市)
日程 7/21.22 8/18.19 9/8.9.29
*最終日はデイサービスでの実習です。
*一生使えるケアとしてしっかりと身に着けます。
*パート1のみの参加も承ります。
*お申込みは7月5日まで!
*1日体験講座にご参加の方、中級修了者、再受講、エサレン認定プラクティショナー等割引があります。


はじめての東京開催です!
*************************************
10月13日(土)&14日(日)
こころにやさしいタッチケア 2days
~心のケア・魂の癒しとして~
詳細 https://touchcare.exblog.jp/28332863/
会場 東京都内で現在調整中
**************************************



本日6月25日、午後10時
インターネット・ラジオ、Radiocro に、
出演させていただいております。
http://radicro.com/

阪神淡路大震災から東日本大震災へ。
NPO法人タッチケア支援センターの
設立の頃のお話や、タッチの効能など
約30分、お話させていただいています。
放送後は、一週間、聴くことができるので
よろしければぜひどうぞ♪
(月曜、夜10時 Good luck for you )
http://radicro.com/program/goodluck.html



7月6日(金曜日)
トラウマを専門とする臨床心理士で
北海道在住の藤原ちえこさんの
個人セッションが
アマナスペースであります。
まだ2枠あいてるようです。
詳細、こちらです。
http://premamft.com/kansaisession/
(お問合せ・お申込みは藤原さんに直接お願いします)

エサレン®ボディワーク
個人セッションは、アマナスペースで。
http://www.amanaspace.com/





山口創先生の、新著が出版されました。
『脳からストレスが消える肌セラピー』
今回は、具体的な簡単な施術の図解もあるそうです!(技術提供は私の東京のお友達の小松ゆりこさん)
ぜひお手にとりご覧ください。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784413112628


静岡県掛川市と、山口創先生の
素晴らしい活動をご紹介します!
********************************
静岡県、掛川市の
”掛川流子育て・スキンシップのすゝめ”
http://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/life/kosodate/shienjigyou/skinship.html
*********************************
桜美林大学教授、山口創先生(身体心理学)
と静岡県掛川市の協同調査により、
乳幼児へのスキンシップの効果があきらかに。
この結果を踏まえて、掛川市が、
子育て期の家庭へのスキンシップと
愛着形成の啓発のための
リーフレットを作成し、
配布することとなりました。
リーフレットはこちらから
ダウンロードできます。
http://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/data/open/cnt/3/17824/1/skinship.pdf

皆さんの、地域にも、ぜひお伝えください。



6月4日、BABジャパン主催の「人生を変えるタッチセミナー」
@飯田橋レインボービレッジ(東京)
大勢の方にご参加いただき、
ありがとうございました。
こちら、報告レポートです。
https://touchcare.exblog.jp/28352436/
日本タッチ協会主宰で
関東方面で、タッチの体験講座もあります。
詳しくは、HPをご覧ください。
https://www.touchassociation.jp/




******************************************
7月7日 @ 大阪ドーンセンター
第二回 ソマティック・関西フォーラム
http://somaticevent.handcrafted.jp/items/11263922
主宰 日本ソマティック心理学協会
*****************************************
昨年は100人を超える来場者がご参加でした。
ココロとカラダの様々なレベルでのつながり・
統合にご関心の方、ぜひご参加ください。
アレキサンダーテクニークの
片桐ユズル先生他、
フェルデンクライス、ハコミセラピー等、
主要なソマティクスなワークが一度に体験できます。




今年も、ジュディス・ウィーバー博士が来日!
センサリーアウェネスの、来日ワークショップ予定。
詳しくは、センサリーアウェネス・ジャパンのサイトをどうぞ。
10月 山梨県 
https://www.kokuchpro.com/event/sa_s18/
11月 滋賀県
https://www.kokuchpro.com/event/sa_b18/




6月は、東京でのセミナーからはじまり
終末期のケアを担当するケア・ギバーの
方のための燃え尽き症候群を予防する、
GRACE プログラムに参加しました。
今年で4年目。私は2度目の参加です。

死にのぞむ人々の苦しみを支え
愛と思いやりをもって接していく
終末期のケアギバーの方々が
燃え尽きることも、枯渇することもなく
お仕事を継続していくには?
慈悲(コンパッション)の意味とは?
様々な角度から、熟練の先生方が
ファシリテートしてくださり、
とても、充実した2日間でした。

セルフケア・セルフアウェネスの
大切さを、あらためて実感します。

こころにやさしいタッチケア講座でも
このことを、とても大切にしているのですが
ますます、丁寧に体験的にお伝えしていこうと思った次第です。

特に、基本となるのは、
グランディング(大地とつながること)
マインドフルネス(今・ここにしっかりと注意を集中すること)


こころにやさしいタッチケア講座では、
最初に触れていく感覚で
大切にしているのは、
足の裏が大地に触れている感覚です。
あるいは、
大地に足の裏が支えられている感覚。

足首・膝・股関節の力をゆるやかに手放して
吐く息とともに、肩や上半身の力も手放し、
大地に身をゆだねるようにして、
足の裏から大地に流していきます。

深呼吸を数回。
吐く息をともに力を手放し、
地球とのつながりを感じます。

ごく自然と、、。
地球に触れている足の裏は、
私たちの意識を、
「今・ここ」に在るように
導いてくれるでしょう。


この感覚のバランスが崩れてしまうのが
地震の困ったところですね。
多くの方が、心身のバランスを崩します。

でも、、ゆっくりと、大地の揺れは
鎮静を取り戻していくでしょう。

足の裏を感じ
呼吸とともに、
もう一度、
大地を、地球を
信頼していけたらいいですね。

(グランディングの効能はまた次の機会に)

ひとつひとつ
回復に向けて。


本日も、長いメルマガを
ありがとうございました。


これから、夏本番となっていきますので
くれぐれも、心身をご自愛ください。



NPO法人タッチケア支援センター
~やさしくふれると世界は変わる~


中川れい子


*配信をご希望されない方はご面倒ですが、件名に「配信不要」とお書きの上このままご返信ください。
*重複や登録メルアドの変更もおありでしたら、お知らせください
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by touchcaresupport | 2018-06-26 13:59 | 日々の活動

ご報告 6/4 「人生に触れるタッチセミナー」

6月4日、東京飯田橋レインボービルで開催された
この春設立しました、日本タッチ協会のお披露目イベントともいえる
人生に触れるタッチセミナー

お陰を持ちまして、無事終了いたしました。
ご来場の皆様、主催のBABジャパンの岩名さんをはじめ、
スタッフの皆様。本当に、ありがとうございました!
そして、ご一緒にセミナ―講師をご担当くださった
日本のタッチ研究の第一人者での山口創先生(桜美林大学)や、
teate セラピーの有本匡男先生、
また、お手伝いくださった日本タッチ協会の皆様、
あらためて感謝申し上げます。
下記、ご報告です!

報告者 中川れい子
     日本タッチ協会共同代表)

来場者の皆様は62名。
会場は、東京の飯田橋レインボービルの1階会議室。
大勢集まっていただき感謝です。
再会も、出会いにも、心がときめきました。

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セミナーは午後1時から5時まで。
まずは、私(中川れい子)のほうから
参加者お一人一人に、自分の内側に意識をむけて
からだや、隣の方との距離感も楽にしていただきながら
「セルフタッチングと気づきのワーク」をご案内しました。

柔らかな音楽とともに、約15分。
この日は、ハートと呼吸と、全身とつながった
ご自身のかけがえのない”手”を、
触れる・触れられるの両方から実感していただきました。
そして、「今の感覚は?How are you feeling now ?」
を各自で書き留めていただき、お隣の方とシェアリング。
はじめ、緊張されていた空気感が、やわらかに。

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そして、いよいよ、本日のメインイベント。
身体心理学者で、日本のタッチ研究の第一人者
桜美林大学教授、山口創先生
「最新の研究結果から知るタッチングの効果」のご講演です。
昨年12月に、関西タッチケアフォーラムでお招きしたばかりですが、
あらたな研究結果も加わった充実の1時間でした。

”触覚”の特徴(実在感・相互性・同時性・融合感)の説明と
オキシトシンの働きについての、最新研究をお伝えくださいました。

女性ホルモンとして知られるオキシトシンですが、
出産にかかわらない男性でも、分泌されます。
オキシトシンを促す方法は
*スキンシップ
*人に親切にする(ボランティア等)
*やさしい言葉かけ
*感情を発散させる
*五感の快(視覚・嗅覚・聴覚等)

オキシトシンのルートは
脳の視床下部から刺激をうけて
脳下垂体から分泌し、ルートは次の2つ。
血流をめぐり全身のオキシトシン受容体と
つながっていく末梢器官ルート。
たとえば、心筋の受容体とつながることで
心拍数を穏やかにする等の影響が報告されています。

もうひとつは、直接、脳に作用する中枢神経ルート。
ストレスや不安に反応する反応する偏桃体をやさしく包み込み
不安や痛みを軽減する作用が。
また、人との信頼やコミュニケーション、
愛情・愛着の形成にも役立ちます。

オキシトシンを鼻から噴霧し脳に届ける実験も報告されていて、
ゲーム中のお金の投資を促したり、
夫婦のもめごとが低下したり、
あるいは、医療用としては、
自閉症の症状の軽減としてすでに実用化されているとのことです。

とはいえ、人工のオキシトシンを取りすぎると
自分自身の自発的なオキシトシンの分泌が低下するので
オキシトシンスプレーはほどほどにということです。
(ネットで購入できるものはかなり濃度が薄くて効果は低いとのこと)

なので、やはり、スキンシップや触れ合い、五感の快や
信頼関係を通じての、オキシトシンの上昇が望ましいのですが、

タッチやマッサージ等の施術者と、
受け手のオキシトシン濃度を測ったところ、
施術前後で、それぞれが上昇したのですが、
施術者のオキシトシン血中濃度のほうが、
かなり高く上がっていくことがわかったということ。

オキシトシンは、触覚への刺激だけではなく、
「相手を思いやる心」「慈しみ」「利他的な心」も
大きな分泌を促す引き金になるので、
相手を大切に思いながら、触れていく施術者のほうが
オキシトシンの上昇率が高くなるということなのです。

次に、触覚の機能のお話もありました。

触覚には2つの機能があり、
1つは、知覚する機能。
それは、手や足の裏など、無毛部のほうが敏感。
もう1つは、感情喚起機能。
気持ちいい~って感じる部分ですが、
それは、逆に、有毛部のほうが感じやすいそうです。
ふわっと、毛並みにそって撫でてあげると
ペットでも、人間でも気持ちがいいですよね^^。
なるほどです。

特に、C触覚線維は、皮膚への快刺激を
脳の「島」へと直接届けるのですが、
このC触覚線維が、タッチのストロークに反応する速度が
(たとえば、背中をすぅっと撫でる)
実験により、1秒につき5センチぐらいが統計的に
快を感じる速度にぴったりくるということも
報告されているとのことです。

その他、やや圧を加えたほうが統計的に、心地よさを感じやすい。
手の平、全体で触れるほうが心地よい。
やわらかな手のほうが。。。
境界線を大切にする、、、等の、心地よい触れ方についても
伝えてくださいました。
フランス生まれのケア法、ユマニチュードのご紹介も。

最後に、先生の近著

そして、
静岡県掛川市との合同研究による、
スキンシップのすすめの、リーフレット配布事業などもご紹介。
これは、画期的な事業ですので、ぜひこちらをご覧ください。




次は、山口創先生と同じく、日本タッチ協会共同代表で
teateセラピーの主宰者である、有本匡男先生による、体験ワーク。


”タッチとは何か?”を問いかける、ちょっと哲学的なテーマ。

もちろん、その問いかけの答えは、一人一人が異なります。
こうだと決めてしまわずに、問いかける力。
良質な問いかけが、これまで気づいていなかったことに
巡りゆく可能性が。

本日の問いかけは
「今までに、印象深かったタッチとは?」
そして
「なぜ、そう感じたか?」

問いかけられることで、初めて動き始めるものがありますね。
私達は、人生の中で、様々な触れる・触れられる体験を積み重ね
そして、それが、記憶の深層としてからだに埋めこまれています。
問いかけることで、そことつながろうとする回路が動き始める。

私の場合、最初に出てきたのは、亡き父の手とタッチでした。
それが、原体験だったのだと、振り返ります。

次にペアになって、肩に触れるワーク。
ここで、視線や、意識の在り方で
どのように、タッチの質が変わるのかを体験しました。
とても、興味深いワークで、会場が盛り上がりました。



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最後に、30分だけいただいて、
中川が再び。

ワークは、もう有本さんで十分だったようなので、
私のほうからは、”Touch とCareがつながる時”と、、、
対人援助のタッチケアとしての視点をお伝えしました。

脳神経や皮膚の触覚との関係など、科学的な三人称視点。
受け手を思いやり、大切にケアする、二人称の視点。
そして、私の内側からの気づきを大切にする、一人称の視点。
さらに、コミュニティと、社会としての、We 一人称複数の視点。
などを。。。

最後に、山口先生と有本先生のお話をもとに、
対人援助により効果的なタッチの質を生み出すポイントを
10箇条お伝えしました。
すでに、皆様ご体験くださったことがほとんどなので
すぅっとご理解いただけたようです。

体験ワークとしては、効果的なファーストタッチを、セルフタッチで。
呼吸ととに、触れていく。
呼吸に波乗りしていくようなタッチ。

雑誌「セラピスト」さん主催とあって、
すでにセラピストとしてご活躍の方が大勢ご参加くださっていたご様子ですが、
この日のセミナーでは、とても、シンプルなところで
タッチの力と可能性を
共有できたかなぁと思います。

セミナーの三番目は、質疑応答。
有本先生が司会をしてくださりいながら
会場からのご質問に答えさせていただきました。


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私自身、東京では初めてのセミナー講師でしたので、
少しドキドキしながらも、
旧知のお友達との嬉しい再会の連続でもあり
心豊かな時間を過ごさせていただきました。



日本タッチ協会も、この春に設立したばかり。
はじまりの、スタートの、共同代表に関西からかかわらせていただきましたが、
大勢の、有能なセラピストさんがご参加ですので、
皆さんと、協力しあって広げていけたらと思います。

さて、東京で、6月にさっそく、
有本匡男さん、他、日本タッチ協会メンバーによる
6月11日と25日です。
東京の方はぜひどうぞ。

10月13日(土)&14日(日)
NPO法人タッチケア支援センター主催、
講師:中川れい子による、
を開催します。


また、関西では、7月21日より、
(最終回は、高齢者施設での実習)を開催しますので、
是非ご参加ください(パート1のみのご参加でも大丈夫です)


懇親会が終わってから記念撮影。
もう、おかえりになられた方もおられますが、
日本タッチ協会にかかわる、そうそうたるメンバーの皆様とご一緒に。

これからも、関西のタッチケア支援センターともども、
全国区での日本タッチ協会を、よろしくお願い申し上げます!



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by touchcaresupport | 2018-06-06 13:02 | 日々の活動

ご報告 第五回関西タッチケアフォーラム タッチ~つながる力とその癒し~ご参加ありがとうございました!

第五回関西タッチケアフォーラム
タッチ~つながる力とその癒し『触れるケアの意味を探り、ケアとコミュ二ティの未来を見つめる』@尼崎総合文化センター、おかげ様で無事に終了いたしました!
参加者&スタッフをあわせて90名近い、施術やトリートメントにかかわる方、看護・介護にかかわる方、子育てや子供支援、心理セラピーにかかわる方等がお集まりくださり、タッチやふれあいの大切さをわかちあう温かな心でつながる輪が広がっていきました。

はじまりに、タッチケア支援センター代表の中川れい子からご挨拶。タッチケアをSIENCE & CARE & SOMATICS & COMMUNITYの4つの視点から眺めていくことと、IT情報革命後の通信形態の変化、デジタル化など新たなテクノロジーの進展と少子化・小家族化の進展から、人と人との自然なふれあいが減り、人が人を命のあたたかみある存在として直接に触れて実感する体験そのものが減りつつあることの問題を提言。テクノロジーの進展と、タッチやふれあいの大切さの教育は補完関係にあるということをお伝えしました。

そして、スタートはゲスト講師としてお迎えしました、地域医療に精力的にかかわってこられた、梁勝則先生療法人(社団林山朝日診療所)の講座。題して『「あなたが担当(家族)でよかった!」と感謝される魔法のスキルを学ぶ~ユマニチュード&バリデーション~を活用した認知症利用者&家族とのハイパーコミュニケーション術

映像や実習ワークを含めた、わかりやすい講習は、会場全体を熱気に包み込み、明日から、家族やクライアントさんに、すぐにでも実践していけるツールとして、私たちの背中を大きく支えてくれそうです。梁先生の日頃の患者様とのかかわりへの繊細な気づきと優しいまなざし、日本の医療や看護をよりよくしていきたいという先生の情熱が伝わってまいりました。まさに、タッチケア支援センターのテーマである「やさしくふれると世界は変わる」のメッセージが、いっきに愛の次元にまで高めていくきっかけとなりそうです。愛は伝播する、波のように、渦のように。おそらくこのフォーラムにご参加くださったほとんどの、おひとりおひとりの方のご周辺から、この渦がさらに広がっていくのでしょう。

フランス生まれのユマニチュードは、「見る・語りかける・触れる(&立つ)」を大切にする対人援助法の1つで、相手の方の尊厳を深め、信頼関係を深めていく、シンプルながらパワフルなメソッド。私たちは常々、触れること以上に、触れていく、あるいは触れさせていただくという信頼関係を築くそのプロセスこそが大切だと思うのですが、丁寧なかかわりの上でで触れていくことで、寄り添いのタッチのクオリティも倍増します。ある意味実際にお体に触れることができれば、ほぼ問題は解決へと向かっていってるとも言えます。ですから、ほんとうに「かかわり」はタッチケアにとって重要なテーマ。今日は、そこを再確認することができました。

午後の山口創先生(桜美林大学リベラルアーツ群教授 身体心理学者)からは「触れるケアの意味を探る~オキシトシンとユマニチュード~」というご講演をいただきました。今回で、三度目のお招きとなった山口創先生、タッチケア支援センターの特別顧問もお願いしております。最近の山口先生のご研究の、自閉症のお子さんをもつお母さんたちにユマニチュードを教えるという活動も一定の効果が出ているらしく、今後が期待されます。また、こころとからだのつながり、身体心理学の視点や、触れることによるオキシトシン効果(オキシトシンについては年々研究が進んでいて今回も新たな発見が!)、タッチよる痛みの緩和の効果のその背景、触覚や神経線維についてのお話等、タッチについての最新の研究をお伝えいただきました。こうしたタッチに対する理解も、触れていく私たちの背中を支えてくれます。今回も穏やかで優しさあふれる講座で私たちの理解を深めてくださいました。

最後の村川治彦先生(関西大学人間健康学部)のお話は、さらに学問的な視点と、体験的なワークの両方で、人間のからだ・身体観の変遷、そして、ソマティクスがどのように成り立ってきたのか、その中でのエサレン研究所の位置付け。客観的に対象化された身体(見られる身体)と、内側から体験される一人称の身体(感じるからだ=SOMA )の異なるという視点を深めました。この一人一人の内側から自らが感じる自分自身の「からだ」という観点も、人間の尊厳と尊重という意味で重要な観点であり、ともすれば、自分自身をあとまわしにしがちな対人援助にかかわる人々にとっても大切な視点かなぁと思います。

休み時間には、こころにやさしいタッチケアの「ハンドトリートメント無料ブース」が大好評で、50名近い皆様が受けてくださり、トリートメントブースの周辺はヒーリングエネルギーが広がり、空間全体に広がっていきました。
また、山口先生の新著「皮膚は心をもっていた!」「手の癒し」や、こころにやさしいタッチケアのルーツであるエサレン®ボディワークの世界初の解説本、鎌田麻莉さんの「心で触れるボディワーク」もあっというまに完売。皆様に読んでいただけるのはとてもうれしいです。

最後の30分は質疑応答とまとめのワーク。
あまりの情報量とエネルギーに30分ではまとまりきれませんが、参加者おひとりおひとりが、それぞれの皆様の現場で、そのやさしいタッチを届けてくださいますように!

懇親会でも、さらに深いお話が!タッチを通じて愛を届けることの意味や可能性が深まっていきました。

やさしく触れると世界は変わる。
やさしくかかわると世界は変わる。
まさに、今この瞬間から、身近な家族から、そして自分に対しても、スタートできること。
タッチやかかわりを通じて、よりよい世界を創り出す大きな一歩を踏み出す記念すべきフォーラムとなりました。

講師の先生方、ご来場の皆様、そして、フォーラム全体をお手伝いくださったスタッフの皆様、本当にありがとうございました!
人と人とのふれあいの大切さを共有する、愛あふれる皆様がこうやってつながることができて、このフォーラムを開催した意義を感じました。
次回は、もっとご参加の皆様同士が交流できるような空間を創っていけたらなぁと思います。
やはり、フォーラムはいいものですね^^
時代が、ひとつ前に進みました。



              会場は地元尼崎の総合文化センター。大勢の方が集まってくださいました。
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最後の全体トークでは、全員の先生が演台に!(左から梁勝則先生、山口創先生、村川治彦先生と、中川れい子代表)
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会場では、こころにやさしいタッチケア体験ブースも。大勢の方が体験してくださいました。窓辺だったので光がいっぱいでした。やさしい癒しの空気が広がりました。
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関西タッチケアフォーラムには三度目の来訪。タッチ研究の第一人者、山口創先生。
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地域医療でご活躍の梁勝則先生。すぐに使えるコミュニケーション法はとても役に立ちました!
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最初に、少しだけ代表の中川がお話させていただきました。
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会場の壁に、デイサービスでの日々の高齢者の方へのタッチケア風景の写真を飾りました。

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by touchcaresupport | 2017-12-11 17:58 | 日々の活動

ご報告 Touch and Loss /喪失と悲嘆によりそうタッチセラピー


2017年3月7&8日、第三回目となるキャロリン・ターグ先生の来日ワークショップが兵庫県西宮市の北部、霊峰「甲山」を臨む滞在型の会館,六甲保養荘で開催されました。
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今回のタイトルは“Touch and Loss ~喪失と悲嘆にかかわるタッチセラピー”このテーマは、これまでキャロリン先生が私達を指導してくださったオンコロジータッチセラピー(癌患者さんへ)、ニューロタッチセラピー(脳卒中等の脳神経後遺障害の方へ)の延長にあるものでした。

医療的ケアが必要な患者さんにかかわる観点として、人生における“喪失(loss)”の理解を抜きに考えることはできなかったでしょう。まさに、3年間の、キャロリン先生のワークの集大成となる内容でした。

喪失(loss)の概念は、想像した以上に広く、それは悲嘆(Grief)、トラウマ、ショックを含めつつも、人生の中でほとんど全ての人が体験するテーマでもありました。それだけ、私達はクライアントさんの喪失と出会っていくケースが多いともいえます。喪失とは人生そのものであり、そして、喪失のプロセスの中に変容と成長が隠れていることもクラスを通じて体験的に理解が深まっていきました。

そして、喪失が私達の「アイデンティティ」や、「いかに、私は人から愛されているのか?」というテーマにも深くつながるという、深い洞察も得ることができました。なるほど、タッチというものは、人のアイデンティティや、自尊感情や自己愛にもかかわっていくものなので、人生の喪失と、タッチケアとのつながりは、決して浅いものではないと再確認した次第です。

これまでグリーフケアに関するケアの多くは、“語る”ことと“傾聴”に主眼が置かれてきましたが、タッチケアのような、身体への関わり”を通じてのワークの可能性も、このクラスではテーマとなり、感情や体感覚、ボディスキャン瞑想や絵を描くワークなどもとりあげらました。

「からだ”とは、喪失の体験を変容させるひとつの入り口ともなりうるものす」

という、キャロリン先生の導きの中、2日間、15名の参加者は、自分自身や他者の喪失の体験に寄り添いながら、感情やからだの感覚に意識を向けていく、凝縮した時間が流れていきました。
下記、クラスでのキャロリン先生の御言葉と、実際に行ったワークを中心に、私のノートをもとにして、少し長くなりますがご報告いたします。ブルーのところは、主にキャロリン先生の講義を記録ノートをもとに再現したものです。私自身の解釈も入り、クラスの内容のごく一部ではありますが、ご容赦ください。

         
      (文責  中川れい子(NPO法人タッチケア支援センター、代表)

1、儀式(Ritual)

「…一見、宗教的な体験にみえますが、宗教を超えたところでも、私達は日常的になんらかの儀式を行っています。一般的に、儀式とは、グループで、あるいは個人において、人生の段階が変化するときや人生の折り目に、そうであると認識しあうことあらわします。人生の変わり目への変容。。。しかし、私達は実際には、一瞬一瞬、変容し、そして、その一瞬一瞬が儀式であるともいえるのではないでしょうか。。。」

クラス全員が大きなサークル(輪)をつくって互いに向かい合い、それぞれ、準備のできた人から語りはじめました。自己紹介、そして、自分自身の喪失体験の話。その喪失にかかわる何かを(たとえば故人の写真や遺品、いつも身に着けている大切なもの等)を、祭壇に置いて、置き終わったら、今、自分の身体の中で、何を感じているのかを意識し、そこに手をあててみる。それを周囲の人も一緒に、同じところに手をあてて感じてみます。15名が次々に祭壇に置くことで、2日間のクラスを見守る“私達の祭壇”が生まれました。

2、語りと傾聴

全員が語り終えるまで、かなりの時間がかかりました。ここでは、「語ること」そして「傾聴」という大切なワークが行われていきました。

「喪失は、すべての人が体験するもので、一度だけではなく、何度も何度も繰り返し訪れます。その体験は、様々で、一人一人の方で異なります」

まずは、“相手の話を、主観的な判断を手放して、誠実に“聴く”ことから。。。これが、私達の最初のワークとなりました。

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3、悲嘆とは?(テキストより)

“悲嘆とは、喪失、災難、不幸などに起因する、強烈な感情的苦しみである。深い惜別、深い悲しみ。”(ウェブスター辞典) 悲嘆は、個人的に意義のある喪失に対する不随意の(いやおうなしの)反応だと、狭義に定義することもできる。その反応は精神的、感情的、肉体的、社会的、行動的、そして/またはスピリチュアルの、どんな組み合わせもあり得、いつでも現れ得る。(テキストより)


4、喪失の種類 (テキストより)

有形の喪失Concrete Losses : 所有物、金銭、仕事、家
進んでいく喪失Developmental Losses: 生殖能力、歩行能力、健康、聴力、視力などの能力
自己の喪失Loss of Self : 身体的病気、離婚、配偶者の死、キャリア、虐待(トラウマ)
抽象的な喪失Abstract Losses: 夢、信じる気持ち/信念、性的エネルギー、ユーモア、自立、自由、人生の質
他者の喪失Loss of others : 配偶者/パートナー、両親、友人、子供、兄弟姉妹、仕事仲間、場所、コミュニティー、流産/中絶、他者の転居を通して


5、悲嘆と喪失、トラウマ、ショック

喪失があれば、悲嘆があるかというと必ずしもそうではなく、悲嘆は喪失の結果、期待しようが、さけようが、いやおうなしに起こりうる不随の反応の1つです。トラウマは、喪失とも悲嘆とも異なります。悲嘆が必ず、トラウマを引き起こすとは限りませんが、トラウマは必ず悲嘆をおこします。トラウマは、予期せぬ、望まなかった喪失の結果もたらされます。トラウマには、多くの場合、悲嘆が含まれます。“何を喪失したのか?”は、重要ではなく、喪失の内容に優劣はありません(ex パートナー、親、子、ペット、仕事、、、等)。喪失を体験した人が、それにより、どういう体験をしたかということが重要なことです」

6、喪失とアイデンティティ

「喪失は、すべての人が体験します。喪失によってもたらされる悲嘆は、人によって様々で、回復に必要な期間も人によって様々で、問題の表出の仕方も様々です。

その中で、とくに深刻さが伴う喪失は、多くの場合、その人自身のアイデンティティを揺るがすような問題であることです。

すなわち、喪失によって、「自分がこうだと思っていたものが揺るがされる」ことで、たとえば、仕事を自分自身のアイデンティティだと思っている人にとって、仕事を失うことは、深刻な喪失であり、それによって悲嘆も伴うでしょう。この場合の喪失は、“自分像(こうだと思われている自分)”の喪失であり、自分をどのように外部に見せているのか?あるいは、「自分がどのように他者から愛されていたのか?」 の変化をあらわします。自分像を失うということは、外部からの愛を失うことに等しいともいえます。

ここで、喪失体験を通じて、その後、自分はどのようなアイデンティティを獲得したのか? 
どのように、人から愛されることを受け取ることができたのか?というプロセスが大切となるでしょう。

このように、喪失のテーマには、アイデンティティというコンセプトが鍵となります。すべての喪失が、アイデンティティの喪失と関係するという訳ではありませんが、多くの場合、喪失を通じて激しい苦しみの中にいる人の多くは、喪失を通じて、アイデンディティの揺らぎと直面する人が多いといえるでしょう。地位や仕事、人間関係などで、自分像を制限している、、、その制限を超えていけない苦しみ。制限するような自分自身のアイデンティティに、執着していること。。。など、その苦しみの背景には様々なことが挙げられます。

この執着を手放す方法を2つ、ご紹介しましょう。

 哲学的・宗教的・スピリチュアル的なアプローチ。 

これまでの小さなアイデンてぃティを超えていく自分。

② 人とつながる。あるいは、自然とつながる。

悲嘆に苦しんでいるときに、もっとも大切なことは、「つながり」だといえるでしょう。
その人を、治そうとするのではなく、つながること。ジャッジせず、ただ見守ることが、大切です。」



7、ワーク① ボディスキャン瞑想

床に横たわり、ガイドの誘導を聴きながら、自分のからだを丁寧にゆっくりと感じていきます。マインドフルネスストレス軽減法の1つのワークです。このワークは、前日の3月6日、キャロリン先生による実践エナジーワーク入門講座でも行われました。

8、ワーク② 意義のサークル(The circle of significant)のワーク

このワークは、『Technique of Grief Therapy 』で紹介されたJane Simingtonによる実践的なワークです。
このワークの基本姿勢は、「悲しみの中に、いつまでもとどまらず、その中にある変容の可能性をみていく」というものです。

ワーク: 紙に、大きな円を描いてみる。それを、大きなパイ(ケーキ)とみなして、パイを切るように、線をいれて、自分なりの喪失のマップを描く。クレヨンや色鉛筆などで色を使い、自由に描きます。そして、サークルの中の喪失を描いた大きなパイ(円)と対話し、その中の可能性を見つめ、感じてみたあと、ペアになって、互いに語り、そして、相手の言葉をただ傾聴します。頭の中の理解だけではなく、絵を描いたり、ハートから話すことが大切。みんな、内側の中に感情があります。それを、ただ、感じること。ただ、語ること。たとえば、絵を描いたり、、、、。それが許される時間は、とても大切。内側にある言葉を超えた、深層に埋め込んでいたものを感じてみる。かつて、失ったことは、今に、大きな意味を届けてくれるのかもしれません。そして、こうしたワークは、一生を通じて、続けていくことができます。

1日目のクラスの、ひだまりの夕刻時、、、会場のそれぞれの空間で、参加者の方達は、自分自身の”喪失のパイ”を描いていきました。
そして、ペアになって、語り合いました。


9、ワークその2 ハンドトリートメント

とても、やさしく、穏やかに、相手とつながり、腕を下からささえるように、骨(手首)のところから触れていきました。ストロークはせずに、ただ、触れていく、、、こんなに優しいハンドトリートメントは、初めて見ました。この空気感は、実際に観ていただかないとお伝えできないかと思いますが、まずは写真のみで。


上:丁寧にゆっくりとポジションと関係性を築いて、手首の骨の部分から触れていきます。支える手にも注目。オイルやローションは使いますが、ストロークは、あえてしません。
下:偶然、右腕を骨折された参加者の方がモデルになってくださいまいした。ギブスの上からも、やさしくホールドします。移動のときも、丁寧に、やさしく支えながら。

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10、 ワーク3 マッサージテーブルを使っての、タッチセラピー

これまでのことを振り返って、マッサージテーブルを使用しての、着衣のままでのタッチセラピーのワークをペアになって行いました。まず、喪失の体験を語り、傾聴し、そして、やさしく、おだやかに、ふれていきました。会場を、キャロリン先生がまわり、アドバイスしていきます。穏やかで、やさしく、静謐な、癒しの空間が育まれていきました。実際に体験してみて、、、やさしく、大切に触れられることの大きな効果を、参加者の方達は、身をもって再確認されました。


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11、グリーフケアについて、タッチセラピーの可能性

*生まれてすぐの赤ちゃんが、触れてもらうというコミュニケーションが得れない場合、死に至る場合すらあることが、わかっています。*タッチセラピーでは、言葉を表現する以前の状態に、かかわることができます。*肌の感覚受容器は5千個以上。タッチを通じて、エネルギーや情報を届けることができます。*タッチを通じて、私達の手は、受け手のからだに、愛と平和を伝えることができます。
*プロセスしきれない感情は、からだのどこかにとどまる。昔、マリオン・ローゼン(ローゼンメソッドの創始者)にこう質問した「身体から解放された感情のエネルギーは、その人の頭の中の意識が、そのエネルギーがそこにあると思っていても、抜けていくことがある」と。
*タッチを通じて、「あなたの体は、大丈夫。今、ここにある(presence)ことを伝えることができる。

時間がすべてを癒すのではなく、愛がすべてを癒すのです」(アンデル・ルーニー)

12、ケアのスぺクトラム

喪失や悲しみを体験しているクライアントや患者に対して、私達は、どのようにかかわることができるのか? キャロリン先生が考案した、ケアのスペクトラムを通じて、講義が行われました。同情でもない、燃え尽きてしまうような共感でもない。。。「慈悲」というフィールドで、クライアントとセラピストが「共に在る」空間を構築するための、エッセンスが、解説されました。

「セラピストの在り方として、自分自身をたもって、自分自身でいられること。クライアントの方が、自分自身で答えを見つけていけるようにサポートすること。悲嘆で悲しんでいる人に、自分の信念を伝えるのは、プロとして望ましい方法ではありません。クライアントに対して、今この瞬間でいることを支えて、あるがままを見ることをサポートします」



以上、長々となりましたが、キャロリン・ターグ先生の2017年3月7&8日の「Touch and Loss ~喪失と悲嘆によりそうタッチセラピー~」のクラスのご報告をさせていただきます。2日という短い時間では、受け取りきれない、膨大な内容でした。前日の、3時間のクラス、実践エナジーワークで、キャロリン先生が語られたように、すべての情報と体験は、エネルギーとして私達に届けられたのでしょう。

遠方からも大勢の方がご参加くださいました。
看護や、対人援助の現場に織られる方も大勢ご参加くださいました。
皆さん、真摯に、患者さん・クライアントさんに向き合うことを大切にされている方ばかりで、日本のケアの方向性に未来を感じさせてくれる2日間となりました。皆さんで、創り上げてくださった空気感が、今も懐かしく思い返されます。

そして、遠い、サンフランシスコの地から、私達に大切なエッセンスを伝えてくださったキャロリン先生。
深く、膨大な内容を、丁寧でわかりやすい日本語で通訳してくださった、広瀬由美子さん。
お手伝いくださった、すべての皆様

ただただ、感謝でいっぱいです。
これからも、じっくりと、受け取ったものを、私達の日々のタッチケアの活動に、浸透させていきたいと願います。
みなさん、ほんとうに、ありがとうございました。


代表中川れい子

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by touchcaresupport | 2017-04-01 14:02 | 日々の活動

朝日新聞のコラム<タッチケアの力> 2016.10.14

今年の9月に朝日新聞の夕刊のコラム『葦、夕べに考える』のコラムニスト、西見誠一記者から取材していただきました。胃カメラを受けたときに、看護師さんから背中をさすっていただいたら、劇的に不安や痛みが解消したということで、その理由を、、、ということでした。

ご自身のご体験的を通して、タッチについての素敵なコラムに書きあげてくださいました。
少しだけ、タッチケア支援センターの名前も出してくださいました。
西見さんと、記者さんの腰をやさしくさすってくださった、看護師さんに感謝です。
やさしいタッチが、これからも、広がりますように。

こちら、2016年10月14日の朝日新聞の夕刊のコラムです。
http://www.asahi.com/articles/ASJB64PP8JB6USPT00B.html


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by touchcaresupport | 2016-11-14 11:32 | 日々の活動

コーマワークからの学び / なぜ、タッチケア支援センターは、コーマワークを学ぶのか?

昨年に続いて2度目の開講となりました、佐野浩子先生(臨床心理士、日本プロセスワークセンター所長)のコーマワーク講習会。私達のタッチケアにぜひコーマワークからの学びを取り入れたいと願い、プロセスワークの創始者であるアーノルド&エイミー・ミンデル夫妻のワークショップで出会った、日本のコーマワークの第一人者である佐野さんをお招きしたのが昨年の夏。今回で、二度目の開講です。佐野先生のわかりやすい解説と、臨床経験、そして、体験的なワークをまじえての内容で、毎年、すごく深まったと大人気の講座です。そして、二度目の開講を経て、このコーマワークからの学びを、「こころにやさしいタッチケア」のエッセンスの1つとして融け込ませていただきたいとあらためて実感しました。

コーマワークは、コーマ(COMA;昏睡状態)の方の、ごく微細なフィードバックに対して丁寧な「気づき」を向ける手法で、通常はきわめて困難とされている昏睡状態の方とのコミュニケーションの回路が開けることがあるということです。これは、アーノルド&エイミー・ミンデル夫妻によって開発されたプロセスワークにもとづく臨床的なアプローチの1つで、「ものごとの自然な流れ(プロセス)」に取り組み(ワークし)、起こるべき変化が何かしらの理由で滞っていたら、「全体」にとってよりよい変化が起こるようにサポートする実践的アプローチに基づくものです。

今回のクラスは11名。タッチケアを学ぶ方、鍼灸師さん、僧侶、臨床心理士、スピリチュアルケアを学ぶ方、そしてコーマワークの土台となるプロセスワークを学ぶ方が集まり、アマナスペースは満杯状態。
今回のクラスでは、初日を「プロセスワーク入門」についてしっかり学びました。創始者のアーノルド・ミンデル博士はユング派の心理療法家で、現在プロセスワークは世界十数か国に研究所があり心理療法のみならず、様々な分野で展開されています。
ミンデル博士の言葉に、

 人間の中にあるやっかいな部分を、
 ただ追い払おうとするのではなく、
 それが表現され、ほんとうに開かれ、
 意識的にきちんと認められる時、
 もっとも大きな変化が起こるのです。

とあるように、プロセスワークでは、
「起こっていることは、すべて意味がある」
と、一見、間違っているように見えるのも、
その文脈を十分に理解していないのにすぎないのでは?
。。。という開かれた態度が大切になるとのことです。

この「すべてはプロセスである」という考えは、「こころにやさしいタッチケア」の基盤の1つでもあるエサレン®ボディワークにも、大きな影響を与えました。というのは、エサレン研究所の創立者の1人、ディック・プライスが80年代、突然の事故で亡くなったとき、ミンデル博士が招かれて長期ワークショップを行い(「後ろ向きに馬に乗る」)、失意と絶望にくれるエサレン研究所の人々の精神的にささえたということで、ミンデル博士はエサレンの中興の祖だという声もあります。


プロセスワークにおいて注目すべきことの1つは、身体症状と「夢」を扱うところ。
そもそも、ユング派の分析心理学は「夢」を重要視しますが、プロセスワークでは、夢に加えて、「身体症状や動き」にも注目します。
「夢は身体症状を反映し、身体症状は夢を反映する」、、、すなわち、身体に触れることは、その方の「ドリームボディ(夢の身体)」に触れていくことにつながるということ。

これは、昏睡状態のみならず、なんらかの意識障害や、認知症の方、あるいは、言語的コミュニケーションの難しい方、、、あるいは、リラックスをして「寝ているのか起きているのか、、微妙な意識の状態」の方へのタッチケア、いえ、すべての人の「からだ」に触れるワークにおいて、とても大切な概念ではないかと。。。。「からだ」を無意識の領域として語ることもありますが、実際には、完全な無意識ではなく、意識と無意識を行ったり来たりする、文字通り、ドリーミーな領域だといえるでしょう。

このことは、同時に、施術者側の意識もまた、こうした意識ー夢ー無意識といったゆるやかな領域に対して、100%でなくても自分自身が開かれている必要があるので、ある程度の理解が必要となります。
そうした領域をプロセスワークでは

 同意された現実 : 多くの人が「現実だ」と合意するレベル、社会的な役割など
 ドリームランド : 感情や身体感覚、夢など、主観的な体験で他者と共有しにくい。ロールなど。
 エッセンス : 形になる前のこんとんとしたエネルギー、源泉、本当の願い、最初の衝動

というふうに分類します。
施術の安全を守ったり、周囲との協調や倫理性を守るために「同意された現実」はもちろん大切です。が、同時に、どこか緩やかで、クライアントさんの身体の中の夢と共鳴するような、ドリーミーな意識状態をキープするのが大切。 こういう状態を両方保つのは、少し上級編かもしれませんが、グランディングとセンタリングと、そして、自分自身のセルフリラクセーション(こうした営みを、プロセスワークはさらに広い意味あいで「インナーワーク」とよぶようです)を大切にすることで生まれてきて、そして、相手の方のからだというドリームランドとの共鳴(チューニング)がよりスムーズに進むかなぁと思います。

さらに、そうしたインナーワークが深まることでエッセンスの領域へと深まり、そこで、タッチを通じて「私という存在と、あなたという存在が本当に出会うフィールド」で触れ合うことができるのではないかなぁと想像しています。そういう意味で、タッチケアやボディワークを学ぶ人には、プロセスワークが学ぶことをお勧めしたいと思います。

今回のクラスでは、初日を特に「コーマワークを通じてのプロセスワーク入門」としましたので、このプロセスワークそのものを学ばせていただける時間が十分にありました。

一次プロセス、二次プロセス、エッジ等の専門的な言葉は、最初は理解するのが難しいですが、慣れてくると、今起こっている状況をより広い視野で眺めることができ、目に見える事象に隠れているものへの理解が深まりました。「コーマワーク」に進む以前に、こうした考え方はとても大切だなぁと思います。

それは、すべてのことには意味があり、全体性を生きるよう、プロセスを完了するために進んでいるという観点をもつことで、コーマ(昏睡)や、麻痺、拘縮、あるいは、ガン等の身体症状、人間関係や家族関係の問題に広く、そして、深くかかわり、寄り添うことができるのでしょう。

さて、2日目はいよいよ「コーマワークの実際」
前回と同じように、実際に自分自身が横たわり、「コーマ」状態を体験します。身動きがとれず、言葉を発せず、他者とコミュニケーションをとれない状態で、他人が関わり、触れていくことが、どういうことであるのか、、、ということを、リアルに体験します。

セラピスト側は、呼吸、とくに吐く息とともに、相手に語ること。雰囲気、ムード、座る位置、コミュニケーションをとりながら、ゆっくりと、穏やかに触れていくことなどを体験します。
こうした、触れ方等の技術以前の、かかわりのアプローチを、プロセスワークでは「メタスキル」と呼びます。
タッチケア支援センターの講座でも、触れるテクニック以前の大切にしたいのですが、この「メタスキル」という概念をもっと深めると、理解しやすいかもしれません。

やはり、時々、「コーマ」状態を体験してみて、普段うっかり忘れてしまっていることは大切だなぁと思いました。

午後は、様々な触れ方の実践。
やはり、触れ合うことで、皆さん、楽しみが増しますね!

最後に、佐野先生の師匠で、現在海外のコーマワークの展開をミンデル博士から任されている、ゲイリー先生が、アメリカで交通事故にあい、コーマ状態であった青年への実際の「コーマワーク」での様子を伝えた貴重なビデオを見せてくださいました。

佐野先生自身も、現在急性期の病院で、臨床心理士として、コーマワークを患者さんたちに実践されているので、多くの臨床上での事例を伺うことができました。


こうしたコーマワークからの学びを、日本の緩和ケアや、医療環境下のタッチケア、あるいは、認知症の方へのケアに活かしていけるのだなlと今回も、実感しました。

私達も、日々の実践や、ボランティア活動に、どんどん生かしていきたいと思います。

佐野先生、今年もありがとうございました!
また、素晴らしいクリエイティブな空間を共に創り上げてくださった、参加者の皆さま、ありがとうございます!

来年も、ぜひ、コーマワークを開催したいと思います!


(佐野先生の、プロセスワーク入門講座が、関西で1月14、5日に開催されます)


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by touchcaresupport | 2016-09-19 14:10 | 日々の活動

日本語訳『終末期のクライアントに、その人が求めるがままに施術をしてはいけない7つの理由』

終末期のクライアントに、その人が「望むがまま」に施術をしてはいけない7つの理由
7-reasons-not-give-client-whatever-want-end-life
By Tracy Walton (トレイシー・ウォルトン)  訳:石井万里子

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この文章は、米国ホスピタル・ベイスド・マッサージセラピー、オンコロジーマッサージセラピーのパイオニアのお一人である、トレイシー・ウォルトン先生の2016年6月5日ブログ「7-reasons-not-give-client-whatever-want-end-life」を石井万里子さんが日本語訳したものです。原文は、下記のサイトをご覧ください。
http://www.tracywalton.com/7-reasons-not-give-client-whatever-want-end-life/
終末期の患者さんのみならず、医療環境下や、高齢者の方へのタッチセラピーなどで気を付けるべき大切な点が書かれていますので、ぜひご参考にしてください。 (NPO法人タッチケア支援センター)
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「先週のマッサージはいかがでしたか?」
そう尋ねた私に、ベッドに横たわった私のクライアントは答えました。
「よかったわ、ほんとに。でもね、正直に言うともっと強い圧の方がうれしかったの。今日はもう少し強めにしてもらえるかしら」

彼女はもうかなり進行した膵臓がん患者で、強い痛みにずっとさいなまれています。その苦痛からひととき解放されたいと、強いマッサージを希望されるのでした。

このようなやり取りはこれまでに幾度となく経験していますが、常にとても重要な瞬間です。私の果たすべき役割、同情心、倫理観が頭のなかでぶつかり合います。私は、深く呼吸をし、それから答えます。



「望みを叶えてあげなさい」と言う人がいるけれど

仮定してみてください。これはあなたのクライアントです。病は重く、彼女の余命はもう長くありません。いつも激しい痛みにさいなまれています。そしていまあなたに強い圧のマッサージを求めています。いえ、懇願しています。あなたはどうしますか?

こう訊くと、生徒の立場の人はどうするべきでしょうかとか尋ねます。先生の立場の人はこのようにしなさいとアドバイスします。現役のマッサージセラピストたちはフェイスブックで自分の意見を述べ合います。

このような議論になったとき、必ず出てくるのが、「もう先がない人には、望み通りにしてあげなさい。」というアドバイスです。その「望み」というのが、終末期にある重篤な患者さんに強いマッサージをするというようなことであろうともです。余命わずかなクライアントなのだから、望みのものを与えてあげればいい。通常の注意事項を杓子定規に当てはめることはない、というのです。

いいえ、違います。答えはNO。ただ、NOです。

このようなアドバイスをしたくなる気持ちはよくわかります。つらい状況にある人の痛み・苦しみを少しでも和らげてあげたいという使命感からくるものでしょう。それでも、「なんでも望むものを与えましょう」というのは間違った答えです。

この状況では、通常よりさらに厳しくガイドラインに沿う必要があります。決してガイドラインを気にしなくてよくなるのではありません。終末期にある人へのボディワークには、ことのほか注意深さと慎重さが重要となるのです。
私は、さまざまな倫理的・実践的な理由から、またプロとしての自覚という観点からも、このことを強く意識しています。その理由のいくつかをここでご説明しましょう。


1. 「お客様は神様です」は道徳的な責務ではない


マッサージセラピーの現場で「クライアント第一主義」はよい理念ではありますが、それはしばしば「お客様は神さまです」という古い慣用句と同義になりがちです。すなわち、お客様はお金を払い、好きなものを選ぶ。援助のプロとしての私たちの仕事はお客様が選んだものを提供すること。

重い病に冒されている、もしくは人生の最後が近づいているクライアントが痛みに苦しんでいたら、その人の望むことなら何でもしてあげたいと思うでしょう。その痛みの激しさを目の当たりにしたら、平常時の注意事項などかまっていられない。それにクライアント自身が、自分に必要なものが何かを一番よくわかっているはず。そう思うことでしょう。

しかし、私たちの仕事は相手が望むものを与えることではありません。クライアントの満足は、私たちのケアプランで目標とする多くの事項のひとつに過ぎないのです。それに、「自分の体のことは自分が一番わかってる」とよく言われますが、人間の振舞いにはそれと全く逆の例がたくさん見受けられます。

このような状況に置かれたとき、私たちがプロとして取るべき行動は、少し距離をとってよく考えてみること。このクライアントの判断はいつも正しいかどうかを思い出してみることです。私たちが強いリーダーシップを発揮し、より用心深くあらねばならないことを、この後に挙げる理由から確認していきましょう。
マッサージセッションの最終的な安全責任は、クライアントではなく、プロである私たちが負うのです。



2. 緩和ケアでは、副作用を考慮しなければならない

「なによりも、害をなすことなかれ」という教えは「すべての安全措置を放棄しなさい」ということではありません。
緩和ケアは痛み・不安・吐き気などの軽減を主眼としますが、それらの症状緩和のために何を・どのくらい処方するかは、それに伴う副作用とのバランスを慎重に見極めながら決めねばなりません。

マッサージをし過ぎることも副作用を伴います。マッサージセラピーを本当に緩和ケアの一部とするために、私たちは副作用を最小にとどめる適切な施術量を考えねばなりません。強すぎるマッサージが事態を良くするどころかかえって悪化させてしまうという場合をいくつか挙げてみましょう。

・痣(あざ)・痛み
強い圧は痣(あざ)を作る原因となり、痛みを増悪させます。痛みに対する不安が生じ、機能低下を招きます。
終末期になると肝機能低下で痣ができやすく、出血しやすくなります。

・血栓リスク
終末期にある方の本当に多くが、深部静脈血栓症の差し迫ったリスクを抱えています。血栓ができても、その半分くらいは症状が外に現れません。深部静脈血栓は下肢にできやすいのですが、その兆候を発見することは困難です。なんと怖いことでしょう。ですから、終末期のクライアントに関わるセラピストは、下肢に圧を加える時や下肢の関節を動かす時には十分に注意をしなければなりません。深部静脈には触れようとすることさえも避けるべきです。なぜかといえば、血管の中に浮遊している血栓は危険性が高く、場合によっては命に関わる事態を引き起こすからです。重い病気の人は体のあちこちに血栓を持っていますので、マサージセラピストはよく勉強し、クライアント一人ひとりのリスクを慎重に吟味しなければいけません。

・体液バランス
終末期には、腎臓、肝臓、心臓に不具合が起こると体液のバランスが不安定になります。むくみの原因は様々で、リンパ浮腫であったり、その予備軍である時もあります。むくんでいるところに触れ、むくみを取ってあげたいという気持ちにかられますが、不適切なマッサージを行ったり、あたためたりすることで状態を悪くしてしまう可能性があります。ほとんどの場合において、マッサージセラピストにできる最良のことは、その時の状態をそのままにしておくこと。体液を動かすような施術はしない方がよいのです。

・骨の強度
進行癌やその他の原因で、外見からはわからなくても、骨がもろくなってしまっていることがあります。中くらいの圧でマッサージしたり、強めに関節を動かしたりするだけで骨折してしまう可能性があるのです。


冒頭にお話ししたクライアントは、このような要素を複合的に持っていて、骨への転移と肝機能障害がありました。複数の要因が重なって、彼女の深部静脈血栓症リスクは高いものになっていました。

これらは、ぱっと見てすぐに気づくようなものではなく、注意深く調べないとわかりません。最初の問診、何ヶ月も彼女を担当してきた経験、それに加えて独自のフォローアップ調査などを通して私はそれらを見つけ出していきました。すべて、昔ながらのアプローチによって検討していったのです。

もっと強い圧でというリクエストに応じ、彼女の希望をそのまま聞き入れるという安易な選択をしていたら、私のマッサージは「やりすぎ」になり、のちの不快感や、もっと悪い結果をもたらしていたかもしれません。私たちが初対面で、関係の積み上げがなかったとしたら、リスクは更に大きくなったことでしょう。

終末期のクライアントへのマッサージのゴールは苦痛の緩和です。つまりマッサージセラピストは緩和ケアを施す要員として働いているのです。ヘルスケアプラクティショナー、ヘルスケアプラクティショナー兼マッサージセラピスト、それともまったく別のサービスを提供する人、あなたが自分のことをどうとらえていようと、「害をなすことなかれ」という大原則に従わなくてはなりません。



3.セラピストとクライアントだけの問題ではない


マッサージセッションは、その性質上当然ながらプライベートなものです。マッサージセッションの間に起こることはその場の中だけに留められ、表に出ることはありません。クライアントが終末期にある場合は、特にそうです。このことが、セラピストをクライアントの要求に従いたい、用心を少し疎かにしてもいいという誘惑に駆り立てます。結局のところ、誰も見てないんだから。そうでしょう?マッサージセラピストはクライアントだけに忠実であればいいんじゃないの?

実際には、マッサージセラピストとして私が説明責任を負うのはクライアントだけではありません。他にもたくさんの関係者がいます。クライアントが亡くなった後であっても、私はご遺族や医療チームの質問に答えなければなりません。もし通常のやり方から逸脱し、害を与えた、もしくは与えたと思われるようなことをしたとすれば、そのクライアントのケアに関わった人全員に説明をしなければなりません。

場合によっては、上司や雇用者、賃金を払ってくれるサードパーティにも説明する必要があります。マッサージセラピストの業界団体や許認可団体にも。損害賠償保険業者にも。私たちは互いに説明責任があるのです。そうです。クライアントとセラピストだけの間にとどまらず、説明責任の範囲は大きく広がっているのです。

マッサージセラピストが症状を和らげるために行った強めのワークが、おそらくデリケートな組織を傷めてしまった結果、後で余計に痛みが強くなったというようなことを想像してみてください。あるいは、間違った方向へのストロークがリンパ浮腫を引き起こしたり、悪化させたりしたということを。あるいは病弱なクライアントに中くらいの圧のマッサージを行った後、吐き気やウィルス性疾患のような苦痛が増したということを。それほど強くない圧であっても弱っている身体には刺激が強すぎるということがあります。

これらは、強い圧でのマッサージで起こり得る数えきれない話の中のほんの幾つかの例に過ぎません。(研究熱心なみなさん、副作用についての調査結果を提示しなくても私を信じてください。私をフォローし、私が直接見聞きした話を聞いてください。私がなぜ「害があるという証拠」より「害があるかもしれない兆し」をボディワークの指針として優先するのかわかっていただけると思います。)
施術のし過ぎによる副作用は、費用のかかる、誰も望まない、クライアント自身とその家族にとって精神的苦痛となる医療的介入の連鎖を招いてしまうかもしれません。終末期においてはその確率は特に高くなります。



4.直感が常にあなたを正しく導くとは限らない

強い圧でマッサージを行うことを、直感がクライアントを守るから大丈だと正当化するセラピストがいます。「直感に従っていれば、害を与えるようなことは決してありません」と言うのです。

意思決定における直感の役割について述べようとすると、長い議論になり、ブログの記事一本を丸々費やしてしまうでしょうから、今は単に、直感は誤ることがあるということを指摘するにとどめます。私たちの仕事で、どんな時も常に直感が正しく働くという人などいないのです。

私の直感は、寝不足だったり食事が足りていなかったり、ストレスが溜まっていたりするときには簡単に鈍ってしまいます。本能的直感で正しいと思ってしたことが的はずれな結果を招いてしまうことがあります。これは、私の場合ですが。マッサージセラピストたちは、自分の直感に従ってこうやった、ああやったという話をよくします。私はその場にいなかったし、実際うまく運んだのだとしても、彼女たちのやったことは一般常識からも、医療の慣例からも、マッサージセラピーの慣例からもかけ離れたことばかりです。

もしあなたのクライアントが強い圧を望み、あなたの直感がそれに同意したとしても、それよりもっと重要なことがあると気づいてほしいのです。直感それ自体はマッサージセラピーで非常に重視されているものですが、他の確かな技術とともに用いられるときに最大の効果を発揮するもので、ただひとつの羅針盤として用いられるべきものではありません。直感でうまくやっているように見えるドクターや看護師は、直感とともに長年の経験と多彩な技術を働かせています。必要な情報や良好なコミュニケーション、推論する能力といった要素がマッサージセラピストとしての臨床的スキルを高めてくれるのです。
直感をむやみに信奉したり、直感に頼りすぎてはいけません。微妙な領域で間違いを犯さないためには、きちんとした医療的意思決定プロセスに従うことが必要なのです。



5. マッサージセラピストが快適であることは、クライアントが快適であることと同じくらい重要

クライアントの激しい苦痛は見るに耐えないものです。言うまでもなく第一に考えなければなりません。クライアントを取り巻く人々にも苦しみの波紋が広がってゆき、そのような状況は私たちの心を強く揺さぶります。私たちはその苦痛に対処するため袖をまくりあげ、自分たちの身を削ってでもあらゆることをしようとします。どんなことでもやりたいと思い、たとえ強い圧を加えるということであっても、それを提供してあげようと考えます。それをしないことは、人としてありえないことに思えるのです。
しかし、慈悲の心を持つことと、境界を設けることは、両立させることができます。強い圧でのワークを断っても、クライアントをないがしろにすることにはなりません。

セラピストとして、私自身もそのクライアントを取り巻く輪の中の一員です。私には私の、尊重すべきニーズと責任があります。夜、しっかり睡眠をとるために、後悔で眠れなくなるようなミスはできるだけ少ないほうがいいですし、これから先何千回もマッサージセッションをしていくために、内側の葛藤や迷いでエネルギーを浪費してはいられないのです。仕事をしっかりと安全に果たすために、私の心は安らかでなくてはなりません。

実際、行動の周りに明確な基準の線を引くことで、私は心の準備を十分に整えて仕事に取り掛かることができます。そうすることで私の心に思いやりの気持ちがすみやかに溢れてきます。気がかりで重くなった手より、軽く優しい手の方が、その気持ちをずっとよく伝えられるでしょう。
優しさをもって働くということは私自身によい効果をもたらします。それを私のクライアントにも届けたいと思うのです。



6. ヒロイックな行いは気分がよいけれど、それにのめり込んではいけない

終末期のケアのような差し迫った状況では、様々な要因が作用します。死を思う時にいつも感じる痛みと怖れ、私たち自身の厄介なエゴ、人の死を見続けてきた歴史、助けることのできた経験と、助けられなかった経験。私たちは自分自身の痛みを誠実に受け止めてきました。でもそのことが私たちの決断を鈍らせもするのです。

自分の中に不安定な何かを発見した時、私たちはそれを急いでどうにかしようとします。クライアントの要望に従ってしまいたいという衝動は、私たち自身の不安定さへの反応なのかもしれません。他人の痛みや苦しみさえ耐えがたいのに、自分の苦しみであればなおさらのこと。私たちは急いでそれを手放そうとしてしまいます。

急いでしまう理由は他にもあるかもしれません。私は私自身を、問題解決ができる人間だと思いたい(だれかドアを開けて私のこのエゴを追い出して!)。この自己イメージを守るため、私は解決策と思うものに飛びつき、通常の用心をすっ飛ばして強い圧を望む人に強い圧を与えてしまうのです。急いで何かをしようとする時、往々にして妥協的な判断をしてしまいます。

でも、クライアントが求めているのは助けであり、ヒロイックな行為ではありません。私たちが修練しているのはマッサージセラピーで、救急医療ではありません。衝動的な思いは常に監視しましょう。ほとんどの場合、何をするのが正しいか考える時間はあります。

良質なマッサージは、そのアプローチに、考えるために立ち止まることを含んでいます。細胞組織は安定しているか、どんな要因が特定の部位でその安定性に寄与できるのか、あらゆる場合を考えます。機能低下している臓器はどれか、それが身体全体にどんな影響を及ぼしているかも考えます。

仕事をしていない、オフの時間は何をすればいいでしょう? 振り返りの時間を十分に取って、正しい判断の妨げになる心の痛みや恐れの感情を癒やします。終末期に関する本を読み、知識を深めます。ホスピスでのボランティアのトレーニングに参加します。死に関する対話会を組織したり、参加したりします。自分たちがこれからどこへ向かうのか、その途上で自分たち自身を癒すために何が必要かということに、人の助けを得て、よりリラックスして向き合えるようにします。



7. 緩和ケアの現場では、私たちもプロフェッショナルチームの一員

緩和ケアは、標準技法をきちんと身につけた、経験豊富なプロフェッショナルのチームによって提供されます。ヘルスケアサービスの提供者は、最新の注意を払って一回あたりの投与量を調節します。ケアは幾重にも階層が分かれており、あらゆる要因を考慮せねばなりません。

今は単独で行動する時代ではありません。マッサージセラピストも物事を自分の手の中にだけ収めておいたり、カウボーイスタイルで個人的な努力をしたりするのではなく、チームの一員として役割を果たすことを求められます。
チームワークを尊重しましょう。マッサージセラピーを、患者さんのケアに境目なく統合させていきましょう。

具体的にはどういうことでしょうか?それは、やさしい施術。たっぷりの施術より少し物足りないと思われる施術。可能なかぎり、フォローアップして観察すること。
そして、しっかり状態を照会すること。質問すること。もし適切でやさしいマッサージがあまり効かないようなら(効いているときでも)、このように言ってみましょう。「主治医さんをお呼びして、痛みのことを相談したほうがよいかもしれませんね。」「ホスピスの看護師さんが訪問されるのはいつですか?」「あなたの治療チームの皆さんに、もっと助けていただくようお願いしてはどうですか?」

チームの皆さんがあなたのことをチームの一員だと思っていなかったとしても、一員としてふるまいましょう。もしチームが存在しないとしたら、訊いてみましょう。「誰があなたを助けてくれているのですか?」「あなたもご家族ももっと楽になるように状況は改善できると思います。誰にご連絡すればいいでしょう?」



終末期での私たちの役割

一回の施術の量、強さ、副作用について吟味するとき、初心に帰って、「害をなすことなかれ」の原則を思い出すことで、「やりすぎ」の罠にはまることはなくなります。
直感のみに頼らず臨床的な手法を用いることで、私たちのワークは形式的にも知識の面でも十分なものとなります。
自分自身のニーズと、説明責任を負うすべての人のニーズの両方に敬意を払うことによって、私たちはクライアントを取り巻くケアの輪の一員となることができるのです。

マッサージセラピーは、ペインコントロール、介護、終末期ケアの世界で大きな注目を集めています。自分たちのスキルに思い上がらず、謙虚さという健全な態度でもって臨むなら、私たちマッサージセラピストはそれらの世界との架け橋を築き、多くの人を助けることができるでしょう。チームプレーの一員となることで、私たちはより高い効果をもたらすことができます。クライアントやケア提供者とうまくコミュニケーションが取れるようになれば、私たちがリーダーシップを発揮することもできるでしょう。

思いやりと思慮深さをもって取り組めば、終末期ケアにおいての私たちの役割は、大きな感謝を得られるものとなるはずです。



私がどのように「ノー」を言ったか

クライアントからもっと圧を強くしてほしいという望みを聞いた私は、彼女の横に座りました。呼吸を整え、まっすぐ彼女の目を見ました。そして、あなたの望みはよくわかるし、それを必要と思う気持ちもわかります。私もあなたの痛みを和らげるために、できるだけのことをやりたいと思っています、と言いました。

そして耳を傾けました。彼女に、症状をもっと詳しく説明し、不快感のある場所を教えてくれるようお願いしました。彼女の話すことを注意深く聞き、幾つかの質問もしました。そして「今回は、痛みのある場所にしっかり意識を向けるようにしましょう」と告げました。

そして、私ができる手法を検討してみて、経験上以下のような方法が効果があると思うと説明しました。身体を心地よく支えられるようにボルスター(補助枕)をの位置を工夫する。やさしい動きで筋肉の張りと凝りに働きかける。必要なタイミングで、「手が触れているところを意識して呼吸する」ことを指示する。ストロークは静かに、長く。細胞組織をホールドする手はシンプルで穏やかに。

クライアントは少し不満そうでしたが、それでも「わかったわ」とその施術プランを受け入れてくれました。私は施術を始めました。

1時間後、クライアントが眠ってしまっていると思い、私はそっと帰る支度をしました。忍び足で出て行く背中に、「ありがとう」と眠そうな声が聞こえました。少し楽になったようです。

クライアントの気分がよくなると、私もまた幸せになるのです。


                  Tracy Walton (トレイシー・ウォルトン)  訳:石井万里子
by touchcaresupport | 2016-09-04 16:00 | 日々の活動

2016年1月のローゼンメソッドWSのご報告

2016年、最初のブログの更新となりました。
今年の活動の始まりは、ジュディスOウィーバーphdのローゼンメソッド1日講座
昨年9月に続き二度目の1日体験講座です。

今回、1月11日の1日講座は、兵庫県西宮市の北部、甲山の裏側にあります「六甲保養荘」で。
駅からバスで20分ぐらいかかりますが、周囲が静かで落ち着ける空間です。
参加者は20名。エサレン®ボディワーカーや、アロマセラピスト、タッチケア講座の修了生の方、そして、看護師、理学療法士、ソマティクスの先生等、大勢の方にご参加いただけました。遠方ですのに、ご参加くださいました皆様には心から感謝申し上げます。

前回と同じく、1日はあっという間。やはり、時間が足らないようでしたが、それでも、参加者の皆さまはそれぞれのご体験の中で、大切なエッセンスを受け取ってくださったようです。

午前中は、自己紹介のあと、ジュディス先生のお話から。
somaticsとは、ギリシャ語のsoma(からだ)から生まれた造語で、この言葉を作ったアメリカの哲学者のトーマスハンナは「soma とは、内側から経験される身体」と定義づけました。英語のbodyは、魂や生命の入れ物で、車の車体を表す言葉でもあり、bodyworkとは、車の車体修理工場を表すように、それは、外側から修理しなおしてあげるというようなニュアンスがあるそうです。だから、ジュディス先生ご自身はbodyworkという言葉はぴったりこない気がするとのことでした。通常、ローゼンメソッドはボディワークの一種とされ、ローゼン・メソッド・ボディワークと表されますが、今回の講座から、ボディワークという言葉はあえてはずし、ローゼンメソッドとしてご案内することにしたのは、そうした背景からです。

通訳は、エサレン®ボディワーカーで、長年センサリーアウェネスも学ばれている黒田有子さん。広島から駆けつけてくださいました。

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次に、ペアになって触れるワーク。
互いにコミュニケーションすること。
安全なスペースや距離、関係性への気づき。
触れている感覚を感じること。

ただ、それを、経験してみる。
experience

「あなたのからだの重さが、相手に伝わっていく感覚はありますか?そしてそれはあなたのタッチにどのように影響していますか?」

「手をソフトにしてみると、相手をより一層感じることができます」

「わからない(not knowing )」ところに勇気をもってとどまってみましょう。。。

ジュディス先生の言葉が、届けられました。



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午後。ジュディス先生のデモセッションを見学。
ローゼンメソッドでは、背面から始めることがほとんどで、施術者と対話ができるように、クライアントさんには顔をマッサージテーブルで、横向けにしてもらうのが特徴です。
ふれるときは、地肌に、静かにふれていきます。

安全であること。
コミュニケーションをとること。
そして、触れていきながら、静かに、対話していきます。

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最後には、参加者の皆さまでの交換セッション。
触れ合うことの豊かさを、それぞれの皆様が、体験してくださいました。

最後のサークルでは、そのことを、互いに体験をわかちあいます。
そのひとつひとつの体験を通じて、「気づき」を深めていきます。
参加者の方の体験と、質問の中に、あらたな探求のテーマが繰り広げられました。
こうしたディスカッションによって、施術は深められていくのでしょう。

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<参加者の皆さまのご感想>
*自分の気づきのワークを体験できて、有意義でした。
*今ここに在ることを、あるがまま、相手を受け入れること、相手の内的世界に入っていくこと、そのために自己をセルフワークすることが重要であることが、実感できました。
*自分自身のケアにもなりました。環境が素晴らしかったです。
*シンプルな内容でも、体験やディスカッションが深くなると思いました。
*相手を感じることが、セッションを実際にやってみて、少しわかったところがあったのが良かったです。
*ジュディスのプレゼンスを感じれたこと、日本でたくさんの人と共有できることを、大変ありがたく思います。
*やはり、ジュディス先生の存在力が際立っていました。参加者の皆さまの雰囲気も億、良い場が形成されました。
*ローゼンメソッドの奥深さ、やはり、「今ここ」と「自分自身」に回帰、ですね!
*本に書かれているような感情解放まで行くのは、なかなかなんやなぁと実感しました。自分の右肩のある一点に触れたときに、涙が出てきました。ああこれか、、、と思いましたが、他者の身体に触れるワークでは、五里霧中で、動いていないところがゆるんだりするのがわかるで精一杯でした。いつもとまったく違う身体の触れ方を体験できてよかったです。
*実技をもっとやりたかったです。
*2度目の参加で、前回よりもローゼンの感覚を深めることができたように思います。自分とのつながり、相手とのつながり、関係性の広がり、深まりを感じました。午前中のワークのあと、視野が広がり、参加者の皆さんの一人一人の存在感がより強く感じられました。
*2-3日ぐらいの時間をとっていただけたら、さららに深い学びになると思いましたので是非お願します。
*自分が感じたことを、信頼して、進めていくワーク、とっても良かったです。以前のWSよりも腑におちた感を得られました。
*もう少し深いところが知りたいです。ローゼンの特徴は、感情と言葉とタッチと理解しています。それがどのように連関しているのか知りたいです。
*1日では物足りなく、もう少し長い時間を体験したかったです。

http://touchcare.exblog.jp/25089067/次回のジュディス先生のローゼンメソッド講座は、2016年10月29日(土)&30日(日)の2DAYS.
これまでよりも、ゆっくりと時間をとって、体験を深めていただけたらと思います。
広報は、タッチケア支援センターのサイトをご覧ください。

NPO法人タッチケア支援センター 代表 中川玲子
by touchcaresupport | 2016-01-17 14:29 | 日々の活動

『ともいき京都』での、オンコロジータッチセラピー施術会

京都の地下鉄丸太町からすぐの町屋『風信館』で、京都大学大学院、看護科学コース教授で、緩和ケア・がん看護専門の田村恵子先生が発起人となり、新しいスタイルのがん患者さんの集いの会、「ともいき京都」がこの夏からスタートしました。

『ともいき』の名前の由来は、
がんを体験した人が、同じ京都という町で共に息し、
意気を持ち、粋(庶民の生活から生まれた美意識)に生きる。
そして、いつかは共に逝く者であることを思いつつも、
周りのいのちと共に支え合って生きることができるように願って、
「ともいき京都」と名付けられたそうです。

詳しいコンセプトは、こちらのブログをご覧ください。
http://kansai.me/west3260/


こちらの会で、8月28日の金曜日から、月1回のペースで、オンコロジータッチ認定セラピストによる、がん患者さんへの、タッチケア(セラピー)の施術会もスタートしました。

京都町屋の風情ある空間で、
ケアの心あふれる、看護のプロの皆様のあたたかいサポートの中、
がん患者さんへの、癒しの時間をもたせていただきました。

オンコロジータッチセラピーの施術者は6名。受けてくださった方は11名。問診と施術とで、約30分。施術内容は、主に、ハンドトリートメントと、肩背中へのタッチケアです。

はじめての活動ですので、何もかも手探りでしたが、
短いなりにも、ゆったりとした、落ち着いた空間と、施術を築くことができればと思います。

まだまだ、改善点は、多くあると思いますが、
大きな一歩を歩めたように思います。

*   *   *



8月28日の、施術を受けられた皆様のご感想もいただけて、とても、勉強になりました。
「とても、気持ちがよかった」「からだがぽかぽかしてきた」「呼吸が広がった」等、いい感触のご感想もいただけました。がん患者さんたちが、求めておられる癒しの要素と、オンコロジータッチセラピーが目指すべきエッセンスがつながりあえたような感触を得れたことは、とても、大きな前進です。
これからも、一回一回、手探りで、糸を手繰り寄せるように、さらにいっそう、歩み寄れたらと思います。

次回は、9月11日、午後2時半から4時です。
お近くの方は、ぜひお立ち寄りください。
(その後は、10月9日、11月27日です)


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by touchcaresupport | 2015-09-01 00:19 | 日々の活動

”やさしくふれると世界は変わる”をテーマに活動するNPO法人タッチケア支援センターの最新情報、メッセージ等をお伝えします。お問い合わせ等は、こちらのHPをご覧ください。http://touchcaresupport.com


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