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9月24日、尼崎女性センタートレビエにて、第一回関西タッチケア・フォーラム「皮膚という脳・タッチとこころ」、無事に終了いたしました。遠方の方も含め、大勢の方にご参加していただき、本当にありがとうございました。子育て経験豊富なお母様、アロマセラピスト、ボディワーカー、整体師、医師(心療内科&小児科)、看護師、介護師、心理や身体学の研究者の方、その他、タッチケアにご関心のある、大勢の皆様が集まってくださり、今後のタッチケアの可能性を実感できる、第一回目に相応しい内容のフォーラムとなりました。ご参加くださいました皆様、そして、講師の皆様、スタッフのみんな、本当に、ありがとうございました。何ぶん、初めてのフォーラムの開催で、行き届かない点も多々あったかと思いますが、反省点を今後に活かし、より良いフォーラムにしていきたいと思います。 さて、第一部は、『皮膚という脳』『子どもの脳は肌にある』等の著者で、桜美林大学准教授の山口創先生のご講演から始まりました。 テーマは、「ふれることの効果:皮膚と心の身体心理学」 既成の心理学の枠にとらわれない、身体から心へのアプローチ、身体心理学(embodied phycology)の立場から、皮膚にやさしくふれることの効果を伝えてくださいました。 五感のうち触覚というものは、体性感覚としてとても基本的な働きがあり、皮膚を通して私達は、音や光をも感知することができること。また、最近の研究から、触覚にはAβ繊維という識別機能に関する太い神経線維と、C繊維という細い神経線維があり、後者のC繊維は、感情喚起機能という、「心地よさ」「きもちいい」感覚と関係する神経繊維であり、これは、皮膚への穏やかでやわらかい刺激にのみ反応することがわかってきているそうです。穏やかで、ゆっくりと、やさしくふれることで、「気持ちいい感覚」と関わるC繊維を刺激し、快の感情を喚起することができ、痛みの緩和にも効果的であるということです。 そして、大切なのはこの「ゆっくりと・・・」で、先生の御研究でも、1秒間で5~10センチのスピードで、なでる、さするなどを行うと、他のスピード(それよりも、遅い&速い)で触れられた場合よりも、心地よく、リラックスできるということが、統計上わかってきているそうです。 また、境界としての皮膚感覚には、その方の成育歴や背景などと関係し、たとえば、幼い時に虐待を受けたことがあると、皮膚の境界感覚を強くもち、鎧のような肥大した皮膚感覚となり、閉鎖的となって人との交流を拒む傾向があるということと、逆に、境界感覚の薄い人は、他人と自分の考えの区別がつきにくく、自分という感覚を感じにくい・・・、そのために、時には自虐的ともいえるほどの、自分で自分の皮膚に強い刺激を与えることで、自己の感覚をつかもうとする傾向がある。。。などの、皮膚と境界のお話しも、とても興味深いものでした。皮膚感覚と、境界意識を健全に保つためには、小さい時からのスキンシップ体験の積み重ねが大切であるというお話しもありました。 さらに、ぎゅっと抱きしめられたり、やさしくふれられることで、脳内ホルモンの「オキシトシン」の分泌が増すという研究の紹介もありました。オキシトシンは、出産のときに子宮の収縮のために妊婦に分泌されるホルモンで、愛情や信頼などの感情を呼び起こすといわれています。 さらに、タッチを受ける感覚は、その人の成育歴にも関係し、スキンシップが多く育った人は、タッチを肯定的に受け止め、スキンシップが少なかった人は、否定的にとらえる傾向が強いという話や、36組の夫婦で実験したところ、1か月間のスキンシップ強化トレーニング(手つなぐ、寄り添って座る、寝そべる等)を受けた夫婦は、そうではない夫婦よりも、オキシトシンが増加し、ストレスが軽減し血圧も低下したという研究も紹介されました。(ただし、それが有効であったのは、普段からスキンシップの多い夫婦のみだったそうです) 1時間半という短い時間でしたが、タッチの効果とその可能性を、様々な角度から考察する、理論的でわかりやすい、有意義なお話しを多数伺うことができました。山口先生の、穏やかでニュートラルな雰囲気にも、とても心が安らぎました。山口創先生、本当に、ありがとうございました。また、ぜひ、お招きし、再びお話しを拝聴したいと思います。 昼休みのあと、第二部は体験ワークショップです。 ガイドしてくださったのは、米国カリフォルニア州、エサレン研究所の、エサレン®ボディワーク公認講師、ブリータ・オストロム先生。12年前に出会った、私のエサレン®ボディワークの最初の師匠です。 ボディワーク歴40年、30年以上、ふれることを教え続け、多くのボディワーカーを育ててきた、67才、貫禄の体験ワークショップでした。70名近い参加者を前に、1時間半、じっくりと「ふれること」の体験をファシリテートしてくださいました。 まず、自分自身の身体や呼吸を感じることから始まります。そして、その体験を、シェアします。 次に、二人でペアを組み、肩の力をぬきながら、相手の方の呼吸を見守りつつ、ふれている感覚を感じながらゆっくり触れていきます。そして、その時の体験と感覚を観察し、再び、シェアリングします。さらに、もう一度、ペアとなり、ふれていきます。 ふれることに、ある固定した方法によって伝えるのではなく、自分自身の感覚をしっかり味わいながら、「今、ここ」の気づき中で、ふれていくことを体験していただく;・・・。その体験の中に、発見があり、そして、真実がある。。。皆さん、シンプルだけど気持ちいい、ただ、ふれるだけだけど、安心するという感想をくださり、タッチの奥深さをご体験くださったようです。はじめ、初対面同士で、緊張した雰囲気もありましたが、徐々にうちとけ、和やかなタッチの輪が広がりました。ブリータの通訳をご担当くださった、通訳の谷裕子さんにも、この難しいお仕事を見事に引き受けてくださり、心から感謝申し上げます。 ブリータのワークショップを体験し、タッチケア支援センターののタッチケア講座である『こころにやさしいタッチケア講座』の原点は、ここにあるんだということを、あらためて再確認しました。偉大な師匠にあらためて、感謝です。 最後の第三部では、午前の部の山口創先生と、午後のブリータ・オストロム先生にくわえ、看護師で関西アロマセラピスト・フォーラム副理事の宮里文子さんも加わり、対談と質疑応答に・・・。宮里文子さんから、東日本大震災での、アロマオイルをつかった、ハンドマッサージによる被災された方への支援活動の実体験を伺いました。タッチケアの実践に、皆さん、興味深く聞き入っておられました。 最後の質疑応答では、「これまで触れられる経験が乏しかった人は、大人になってからでは、もうタッチを心地よく体験することはできないのか?」「トラウマのある人にはどのようにふれるといいのか?ぎゅっと強くふれることも効果的ではないか?」「ふれられることをもっと体験したいが、どのようにしていけばいいのか?」「体験ワークショップで、ふれられたとき、痛みが浮上したが、その後消えた。それはどういうことなのか?」など・・・・。様々な参加者の方のご質問に、先生方は、丁寧に応えてくださいました。もっと、大勢の方のご質問を伺い、また、ゆっくりとご対話をしていただきたかったのですが、残念ながら、時間となってしまいました。 とはいえ、今後、とりあげていくのにふさわしい、様々なテーマが浮上し、第一回フォーラムに相応しく、しっかりとした種子が蒔かれていったと思います。今後の展開がとても楽しみです。 ご参加くださいました皆様には、心より、御礼申し上げます。皆様の御一人御一人の存在が、このフォーラムを創造し、築いてくださいました。時間があったら、もっともっと、皆様のお話しを伺って交流したかったと思います。おしゃべりできなくて、とても残念です! 次回は、2012年3月20日、心療内科医師の明石麻里先生と、エサレン研究所のシャー・ピアス先生をゲストに迎え、第二回関西タッチケア・フォーラム『タッチ、その癒しと祈り』を開催したいと思います。第一回目の経験と、教訓をもとに、さらに内容があり、皆様にくつろいでいただけるフォーラムにできるよう努力したいと思います。詳細は年末ごろに、お伝えしますので、皆様のご参加をお待ち申し上げます。 このフォーラムを通じて、人々の生活の質が深まり、互いにふれあい、人を慈しみ、思いやり深い社会へとつながる輪が少しでも広がるのなら、本当に幸いです。 大切な一日を共にしてくださり、ありがとうございました。 ご一緒くださいました、御一人御一人の皆様に、心からの感謝をお伝えしたいと思います。 そして、皆様の日々の生活に、あたたかいタッチのやさしさが深まりますように。 NPO法人タッチケア支援センター 代表 中川玲子 http://touchcaresupport.com/
by touchcaresupport
| 2011-09-26 22:36
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