追悼、黒田裕子さん ~神戸フォーラム2016に参加して~

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9月24、25日は、日本ホスピス在宅研究会主催の「黒田裕子記念、神戸フォーラム2016」に参加するために、ポートアイランドへ。http://kurodakinen.okoshi-yasu.net/
大会長が、第二回関西タッチケアフォーラムでお招きした長尾クリニック院長の長尾和宏先生(私の父の在宅医療でも大変お世話になった先生です)であったことや、宮城県気仙沼の面瀬仮設住宅での活動でお世話になった災害ナースの黒田裕子さんの追悼イベントでもあったことで、今回はぜひとも参加しようと思い早々に申し込んでおりましたが、とてもいい勉強となりました。

会場には、在宅ホスピス医療にかかわる、医師、看護師、介護士の方をはじめ、セラピスト仲間も数名参加してくれていました。2年前に旅立った父の在宅介護をサポートしてくださった、長尾クリニックのケアマネさんや看護師さんともうれしい再会も(偶然、その同じ日に私以外の家族が父のお墓参りに行っていたのをあとで知り、にやりと笑ってしまいました^^) また、いつもタッチケアボランティアでお世話になっている喜楽苑の皆さまや、昨年、ニューロタッチセラピー講座の施術モデルで利用者さんとご一緒に駆けつけてくださった大阪の施設長さんとも再会。介護や看護、在宅医療やホスピス、スピリチュアルケアにかかわる、まさに「現場」にかかわる医療・福祉関係の皆さまの大集合の大会でした。

分科会、学習会、講演会も目移りするような内容でしたが、学んだことのほとんどすべてが、「こころにやさしいタッチケア」の実践と講習の在り方に直結する内容でした。

様々な分科会がありましたが、1日目に私が選んで参加したクラスの1日目は、岐阜県の円空仏で有名な千光寺のご住職、大下大圓先生の「臨床瞑想法」。3年前の東京国立博物館での「千光寺の円空仏展」を観て以来、ずっとお会いしたいと願っていた和尚様の瞑想教室。これが実にわかりやすく、よく整理されていて、「瞑想」が人々の心身の健康のサポートとして医療の現場に定着しつつある時代に突入していることを再確認。「ゆるめる瞑想」「みつめる瞑想」「たかめる瞑想」「ゆだねる瞑想」という説明は、とてもわかりやすく、瞑想の中にある「癒し」「気づき」「目覚め」の要素が、脳科学とともに解説していただきました。タッチケアの実践でも、施術者のグランディング&センタリングのため、瞑想はとても大切。ただ、やはり、参加者の方にとっては敷居が高いものに見えます。この「臨床瞑想法」ならば、もっと親しみやすくお伝えできるのではないでしょうか。15年程前、瞑想リトリートがあまりにも自分のためになるので、何度も参加していたのですが、その時の師が、Meditation is medicine と語っておられましたが、ほんとその通りだと思います。


2日目の午前中は、高齢者医療のご専門の医師の梁勝則先生による「ユマニデーション」
これは、今話題の、介護や看護のかかわり技法である、フランスの「ユマニチュード」と、アメリカの「バリデーション」の2つを混ぜ合わせた造語だそうです。
この2つを一度に学べるお得な3時間。
梁先生のクラスの運び方がとっても楽しく、体験ワークを交えて、認知症の方へのかかわりのポイントを伝えていただきました。
アイコンタクトや笑顔、非言語的コミュニケーション、位置やポジショニングの大切さ、フィードバックなど、こうしたことは、タッチケア講座でも大切にする内容ですが、こうやって、あらためてしっかり学ぶと、「こころにやさしいタッチケア講座」の指導法に一本筋が入ります!(←ぶれない自分を発見!) 新しい気づきもいっぱいいただきました。さっそく実践してみましょう。
そして、ケアの現場の方たちのプロ意識の高さからも、大いなる刺激をいただきました。

いつも思うのですが、触れることのケア法で大切なことは
1、自分自身を調えること(セルフケア 一人称の身体学)
2、人とのかかわりやアプローチ法
3、皮膚や脳神経へのかかわりなどのタッチに関するサイエンスの側面
4、実際に触れていくための癒しの技法
の4本柱。そのもっとも大切なのは①と②
その2つをこれらの講座で再確認できたように思いました。

お昼は、ランチョンセミナー。
災害ナースとして知られる黒田裕子さんの追悼。
司会は大会長の長尾和弘先生。
昨年放映されていたNHKのドキュメンタリーの映像と、黒田裕子さんをよくご存じの方のお話を伺いました。

阪神淡路大震災のときに立ち上がった災害ナースとして有名な黒田さん。
あの当時、千や2千戸と立ち並んだ、埋め立て地や山間部に建てられた巨大仮設住宅群。
ようやく避難所から一戸建てにと安心したのもつかのま、、、どこまでも無機的に夥しく並ぶ阪神間の巨大仮設住宅住居群に、どれほど多くの方が荒涼とした無力感にさいなまれたことか。。。そして、連続する孤独死と、震災関連死。。。
黒田裕子先生は、その仮設住宅を一件一件回る!ということを真摯に実践された方で、その精神を後のちの災害復興支援の在り方に伝えていった方でもあります。
それが、どれほど大変なことであるのか、、、。NPOなどの組織や助成金等の支援機構がまだない時代です。資金ぐりも本当に大変だったと思います。
阪神淡路大震災の当時、私はまだ30歳をすぎたばかりの一兵卒の現地ボランティアの一人でしたが、復興支援対策の先例のない時代に、突き動かされるかのように命を削りながら駆け抜けていった私よりも10歳、20歳年上の方たちのことを、今でもよく思い出します。
残念ながら、阪神淡路大震災のときは、結局黒田さんにお会いすることはありませんでしたが、時が流れて東日本大震災の時に、ご縁をいただくことができました。

タッチケア支援センターが宮城県気仙沼に、尼崎のNPO団体でバスを借りて被災地に訪れるツアーに参加させていただいときのこと。偶然、行かせていただいた仮設住宅が、気仙沼の面瀬仮設住宅の集会場で、黒田裕子さんが震災直後、避難所の時からずっと支援されてきた地域です。仮設住宅となってからも、黒田さんをはじめ看護師さんやボランティアの方が常駐し、とても清潔で明るく、お年寄りも小さなお子さんも一緒に集える場として、大切に守られている空間でした。
阪神淡路時代の仮設住宅を知っている私としては、(もちろん個々人の皆さまには計り知れない大変な思いや現実をお持ちであったでしょうが)、面瀬の仮設住宅は、奇跡のように素晴らしく、そして温かな空間でした。黒田裕子さんをはじめ、大勢の方が心をこめてサポートされたのがよく伝わってまいりました。私達は、そこで足湯とハンドトリートメントと傾聴のボランティアをさせていただいたのですが、事前に広報していただいたお陰で大勢の住民の方に体験していただくことができました。その時の活動報告はこちらです。
http://touchcare.exblog.jp/18881674/

タッチケア支援センターがスタートしてまだ1年目。そして、この時のボランティアに参加した方のほとんどは、タッチケア基礎講座を修了してまだ間のない方がばかり。。。無謀といえば無謀だったのですが、やはり予想どおり^^。この時、黒田裕子さんから、稲妻のような非常に厳しいご指摘をいただいたのですが、思えば、黒田さんからあれほど真摯に伝えていただけたことは、私達にとって計り知れないほどのGIFTであったのでしょう。

あの瞬間、私達にとって黒田さんは「伝説の偉人」から、終生忘れ得ないかけがえのない方となられました。 その後、神戸で数回お会いできましたが、その時は本当にお優しくて、、、。おそらく、もう、時間がないから、しっかりと伝えていきたい、、、という思いでらしたのでしょう。
タッチケアのボランティアをしているときに陥りやすい、「良いことをしているという自己満足」、「気持ちがいいと言われてることの恍惚感」 そんな、施術者側、あるいはボランティア側だけが輝いてしまうような活動になってしまっては絶対にいけない。利用者さんが輝くことを第一義にする。このことは、現在のタッチケア基礎講座でしっかりと伝えていこうと心がけています。

そして利用者さんと日常的に共にいる常駐の支援者の方やその空間を尊重すること。また、当然ながら衛生面や安全性についてもしっかりと責任を持つことなども、タッチケア支援センター1年目に黒田裕子さんからいただいた、大切な教えです。



今回の「神戸フォーラム」では、黒田裕子さんが末期がんで亡くなる直前のご自身の映像をNHKが撮影したドキュメンタリーのダイジェスト版が流れていました。放映のときももちろん拝見し、今も録画しておりますが、その時の黒田さんが、「死ぬのは怖くはない、、、ただ、時間がない、、」とつぶやいておられたのが、今回も心を打ちます。

そして、黒田さんが最後の最後まで唱えておられた大切なメッセージを3つ。
伝えていただきました。

1、最後の一人まであきらめない。見捨てない。
2、現場に真実がある。実践の中に真実がある。
3、福祉避難所の充実。


黒田さんの足元にもおよびませんが、阪神淡路大震災の時の避難所や仮設住宅、テント村で体験したことを思い返すと、このお言葉が、どれほどに重要であり、そして、難しいことであるのかを実感します。

追悼式でのダイジェスト版ではありませんでしたが、NHKの番組では、末期ガンで西宮の病院で入院されている黒田さんが、兵庫県知事をベッドサイドにお招きして、テレビの中で、「福祉避難所の充実」を陳情されているお姿も胸をうちました。(そして、今年の熊本大地震。いまなお、福祉避難所のことが問題となっていますが・・・) 

黒田裕子さんの全身全霊を撃ち込まれた活動は、その後の被災地の支援の在り方を大きく変えていき、医療・看護・介護、ボランティア活動、、、さらには、行政や社会をも変えていったこと。
そして、そのスピリットが大勢のケアの現場の方達のハートを開き、受け継がれていっていること。。。

今回の神戸フォーラムは、ちょうど黒田裕子さんの三回忌。
神戸の空の上で、大きな大きな星となられて、そして、これからも、ケアの現場を見守り続けていかれるのでしょう。ほんとうに、なんて大きな星でらっしゃるのでしょうか。。。

ほんの一瞬だけですが、この地上でお会いできたことに感謝です。
星空の彼方でもお忙しくされておられるかもしれませんが、どうか、ゆっくりとお休みください。


(文責 中川玲子)
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大会長、長尾和宏先生が黒田裕子先生の思い出話を語ってくださりました。


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黒田裕子さん、追悼コーナー


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梁勝則先生と、大下大圓先生。そして、アロマセラピストの穴田美緒さんと、板谷奈鳳さん。
by touchcaresupport | 2016-09-27 12:57 | 代表雑感
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